想い伝えるSpi×Art【中川 昌美(なかがわまさみ)公式サイト】

私が描くちびっこ天使たちのモデル

子供の頃祖父の家に、赤ちゃんくらいの大きさのお人形がいました。
最近天使を描くとき、よくそのお人形を思い出しながら描いています。

青い眼と金色の髪の毛で、いつも楽しそうに笑っている表情をしたその子は、ぴーちゃんという名前でした。
寝るときは祖父母と川の字で寝て、おんぶ紐で買い物にも連れていっていた、祖父母の大きくならない赤ちゃんみたいな存在でした。

ちびっこ天使たちを描くとき、いつも思い出す顔。

オラクルカードにはいろんな天使が出てきますが、主人公の女の子の傍にいるのは、金髪の赤ちゃんみたいなちびっこ天使たちです。
私はこのちびっこ天使たちを描くとき、いつもぴーちゃんの顔を思い出します。
たまに会いたいなとも思います。

天国でもうすっかりお姉さんになっているかしら。
それとも、昔覗きこんだ赤ちゃんの顔のまま、今も笑っているのかなと想像しています。

子供の頃からあたりまえのようにぴーちゃんと育ったので、モノにも心があると考えるのが祖父母の家では普通でした。大きくなって友達にこの話をするとドン引かれるので、「よそのお家では違うっぽい!」と気づいて以降、この話は封印しました・笑
大人になってから、ぴーちゃんの事を人に話すのは初めてです。

「モノにも心がある」と考えるのが普通だった子供時代

ぴーちゃんが祖父母の家にやってきたのには理由がありました。
祖母の知り合いの人が購入したものの、赤ちゃんをトイレに流してしまったという事件があって(戦後なので色々あったのだと思います)家にあるとその話を思い出して辛いので、貰ってくれないか?と頼まれたというのが、私が母から聞いた話。訳あって祖父母の家にやってきたのでした。

きっと信心深かった祖父母は、その事件の赤ちゃんを供養するような気持ちで、ぴーちゃんをかわいがっていたのだと思います。

私も祖父母の家にいくと、必ずぴーちゃんに挨拶をして、ちょっとだけ触らせてもらったり、たまに顔についたほこりをハンカチで拭いてあげたり服を着替えさせたりして、喋れない従姉妹みたいな気持ちで彼女と接していました。

持病があり、認知症で徘徊をすることが多かった祖父は「俺が死んだら、ぴーは一緒に棺に入れるんだ。」と、よく言っていました。

ところが祖父が亡くなったとき、祖母はあまりに寂しかったのか、ぴーちゃんを棺にいれることが出来ませんでした。

祖父の葬儀が済んだ頃、祖母は夜になると小さな子供の泣き声が聞こえて眠れないと言っていました。
ぴーちゃんがおじいちゃんと一緒に逝きたくて泣いていたのかもしれないね、と言いながら、棺に入れられなかったぴーちゃんにごめんねを繰り返していました。

ぴーちゃんとの突然のお別れ

祖父の死からしばらくたち、祖母に認知症の症状が現れ始めました。
大学生になっていた私は数ヶ月に1度顔を見せに行く程度だったので、祖母はだんだんと私が誰なのか分からなくなっていきました。

久しぶりに祖母の家を尋ねたある日、いつも祖母の座椅子の傍らに座っていた、ぴーちゃんがいません。
従姉妹に尋ねると、気付いたら祖母がどこかへ持っていってしまったというのです。

家中を探したけれど、ぴーちゃんはどこにもいませんでした。
どこか遠いところへ捨てられてしまったのです。
認知症の祖母からぴーちゃんの行方を聞き出すことも出来ず、それ以降ぴーちゃんの顔を見ることはありませんでした。

母は、ぴーちゃんもかなり古くなっていたから、お寺かどこかにに預けて供養したんじゃないかなと言っていましたが、ちゃんとお別れが出来なかった悲しさはその後も私の中にずっと残っていて、今でもたまに、ぴーちゃんの顔を思い出して寂しくなる時があります。

天使たちが無邪気に遊んでいる姿を描く時、ぴーちゃんもこうしてどこか天国のような場所で楽しく暮らしているといいなと思います。

しゃべらない、動かないお人形だったけれど。
子供の頃、ぴーちゃんと従妹のように過ごした時間は、結構大きな影響を私に与えているのかな…なんて、時々思いながら描いています。

ふと誰かに話したくなって書いてみました。
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
みなさまと大切な方たちが健康で心おだやかな日々をすごされますように。

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masami

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