想い伝えるSpi×Art【中川 昌美(なかがわまさみ)公式サイト】

メトロポリタン美術館展 ルブラン夫人の時空を超える肖像画

最近、突然美術館に行くようになりました。
コロナでなかなか人とお出かけできない今、お一人さまでも楽しめる展覧会の魅力にアラフォーにして気づいて(遅い?)


コロナ禍の恩恵で、時間予約制になり「大混雑で絵が見えない!私は人を見に来ているのか?」という、展覧会ストレスも軽減されていますし、
いつ海外に行かれるか分からない今、日本で巨匠の作品が鑑賞できるのもうれしいですよね。

美大時代もめったに美術館に行かなかったので、今思うと学割が効いたあの頃に、もっと行っておけばよかったです。

 

そんな私の美術愛を再燃させてくれたきっかけは…
マリーアントワネットの宮廷画家だった、ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの本を読んだこと!

 

 

この本がすごく面白くて。
フランス革命の時代に、女性として職業画家となることの苦労や厳しさを乗り越え、画家として大成していく姿がとにかくかっこよくて…!
夢中で読んでしまったのです。

 

ご興味のある方はこちらの本をどうぞ。

 

ベルばらにも登場!ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン夫人の人生とは…

ルブラン夫人は、あの「ベルサイズのばら」にも登場する有名な女性画家です。


(画像はWikipediaからお借りしました) 


ざっくりルブラン夫人(以下ややこしいのでルイーズと表記)の生涯を説明すると…


画家の父のもと、10代から肖像画の注文がさばききれないほどの才能を持っていたものの、
母親の強い勧めもあって、画商をしていたルブラン氏(フェルメールの発見者と言われているそうです)と20歳で結婚。

女好きでギャンブル好きなルブラン氏は、ルイーズの結婚持参金を自分の財産とし、ルイーズが肖像画で稼いだお金も自分のものにし、もっと稼げとルイーズに絵画教室を開かせたりします。
これは、ルブラン氏が悪いというだけでなく、当時のフランスの法律で「夫は妻の財産を管理する」と決まっていたためでもあります。

それでも、社交的で控えめな性格、そして美貌のルイーズは、貴族たちとの華やかな交流を通して、マリーアントワネットの宮廷画家として確固たる地位を築きます。


フランス革命が起きると、王妃にかなり近い存在であったルイーズは、ギロチン台から逃れるために一人娘と農夫の変装をし、アルプスを越えてイタリアに逃れます。その後もドイツやスイス、ロシアとヨーロッパを転々とし、各地で貴族の肖像画を描きながら旅費と生活費を稼ぎます。
(この間夫からの援助は一切なし!なかなか腹の立つ夫なのです。)

女性と幼い娘二人だけの逃亡は、当時は非常に危険で、財産を盗まれたり食べ物がなくなったりしながらも、旅先では必ず「あの有名なルブラン夫人ですよね!」と彼女の才能を知っている人たちが援助の手を差し伸べてくれます。まさに、『一芸は身を助ける』人生を歩んだ方なのです。

 


ルイーズが描いたマリーアントワネット。
国王一家の処刑をロシアで知ったルイーズは、痛恨の念にかられ、苦しみをともにすればよかったと苦悩したそうです。画家ゆえの繊細な感性で精神的な不調も抱えたルイーズの悲しみを思うと、私も胸が痛みました。

 

実は私、過去ルーブル美術館や六本木のマリーアントワネット展でもルイーズの絵は観ているのですが、画家の人生を知った後、もっとちゃんとルイーズの絵を観たい!と思い、メトロポリタン美術館展に足を運んだのでした。

 

 

肖像画の人柄までも伝えてくれる、ルブラン夫人の才能

メトロポリタン美術館はアメリカ・ニューヨークにある美術館で、今回日本で開催されている「メトロポリタン美術館展」では、このメトロポリタン美術館からえりすぐりのヨーロッパ絵画作品65点が来日しています。

 

 

ルイーズの作品は、「ラ・シャトル伯爵夫人」の1点のみでしたが、見ごたえ十分。
近くで観ると、ものすごく細やかで繊細なタッチ。
瞳のきらめきや眉毛一本一本、そして指先の美しさに感動しました。


ルイーズは作品が完成しても背景の小物やアクセサリーといった細部まで手を入れて、なかなか手放さなかったそうで、それが本当によくわかる作品でした。
細部まできっちり描きたいルイーズの想いが、肖像画に描かれる人の人柄を200年後の今を生きる私たちに伝えてくれるんですよね。

シャトル伯爵夫人に会ったことがないのに、この方を知っているような不思議な気持ち。
アートは時空を超えるなぁ…とあらためて感動してしまい、なかなか絵の傍を離れることができませんでした。


指先がちゃんとお手入れされているのね!という感じにツヤツヤしていて、とってもキレイ。
思わず自分のアルコール消毒でガサガサの指と見比べてしまいました。

 

 

私数年前に、「肖像画を描きたいな」と思ったことがあるのです。
その時はオラクルカードや絵本の仕事を抱えていて、ひと段落してからと思っているのですが、
似顔絵じゃなくて「肖像画」がやりたいんです。

 

その人の生きていた証を残すような、その人の魂の輝きをそのまま絵に表したような、そんな肖像画をメニューとしたいという野望があって。
ルイーズの肖像画には、きっと私がこの後何回転生しても足元にも及ばないでしょうけれど。
でも、私なりの肖像画が描きたい気持ちがずっとあるんです。

まだほかにお受けしている仕事があるので、実現はもう少し先になりますが、いつか必ず、私は時空を超える肖像画を描く!!(宣言)

 

ブーシェの作品も大きくてかわいかったです~!画面が大きいと人物よりリアルに感じられますね。
ミュージアムショップにあった大判のポストカード、すごくおすすめです。

 

メトロポリタン美術館展で、もうお一人すごーく気になった画家がいるのですが、ブログが長くなりすぎたのでまた次回にします。

 

そうそう、ルブラン夫人の本を手に取る前に、こちらのローズ・ベルタンの漫画にもはまっていたんです。
マリーアントワネットの衣装大臣をしていた、ドレスデザイナーのお話。
こちらも、当時の女性の社会的な地位の低さについてしっかりと描かれていて、すごく面白いのでおすすめです。

●このサイトで1.2話無料で読めますー!

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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  masami  

 

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