『ゆほびか11月号 』童謡CDイラスト解説③この道~別の生で愛してくれた母~

9月14日(土)発売の『ゆほびか』11月号に挿絵を描かせていただいています!ぜひお手に取ってご覧ください。

今日は掲載イラスト『この道』について書いてみます。
↓過去の解説ブログはこちら


破天荒な北原白秋の作詞「お母さま」というフレーズ

『この道』 作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰

この道はいつかきた道
ああ そうだよ
あかしやの花が咲いてる

あの丘はいつか見た丘
ああ そうだよ
ほら 白い時計台だよ

この道はいつかきた道
ああ そうだよ
お母さまと馬車で行ったよ

あの雲もいつか見た雲
ああ そうだよ
山査子の枝も垂れてる


『この道』の作詞をした北原白秋さんは、
きっと作る詩のように、静かで淡々とした性格なんだろうなと
勝手なイメージを持っていたのですが…

昨年公開された映画『この道』ではなかなか破天荒キャラに描かれていました。
実際、どんな方だったんでしょうね。

この歌で印象的なのは、‘お母さま’というフレーズです。
この言葉があるだけで、なんとなく上品なお坊ちゃんが浮かびませんか?

子供の頃この歌を歌う時、人生で一度も口にしたことがない‘お母さま’という単語が自分の口から出ることに、
お嬢さまになれたような気がして好きな歌でした・笑

実はこの詩が発表された当初、この部分は‘母さん’だったとか。
歌い継がれるうちに、より文化的な言葉遣いとして‘お母さま’に変更されたという事。

そのくらい長く歌い継がれているんですよね。

あかしあの花、白い時計台

絵の方も、おぼっちゃんを(多少)意識して描きました。
この歌が一番、いろいろ調べたかもしれません。

『あかしあの花』ってどんな?とか
『時計台』ってどんな時計台?とか。

あかしあは、予想以上に簡単に職場の近くで見つけました。
かわいいお花なんですね。形が変わっている。
写真まで撮ったのに、絵にはそれっぽくなく描いてしまいました。
(射手座的雑さを発揮)

 

そして時計台は有名な札幌のあの時計台とされているようです。
ただ、研究している方のブログを読むと、
作詞当初の北原白秋は札幌を意識していなかったみたいですね。
児童書の発行の度に、解説でいろいろ付け足されたようです。
子供ってなんでも聞いてくるから、そういう事にした!って感じなのでしょうか。

絵の方は、札幌の時計台を意識してかきました。
‘この道’ってどの道を描けば!?と思っていたのですが、
札幌の道と言われると、道幅も空の高さもすんなり決まりました。

原画は横長で制作していたのですが、掲載時に正方形になりました。
構図的には私はこの横長の方が好きです。

時空を越えた愛の記憶を呼び覚ます歌

『ゆほびか』の誌面にボーカルのmicoさんがこの歌の解説をしてくれていて、
私はその解説文がすごく好きなので、みなさまに雑誌を買って読んでいただきたいのですが
ここに、ほんの少し抜粋させていただきます。

『この道』という歌の不思議は、「私という存在が、実はつねに多次元に存在している」という事実を、無意識のうちに実体験できてしまう、というところにあります。

(中略)

お母さまと馬車で行ったよ

というときの、この「お母さま」とは、いったいいつのお母さまなのでしょう?
この人生では、馬車などに乗ったことのない私はここで、いつか別の生で愛してくれた、
もう一人の母、魂の母と再会することになるのです。

なんとも、分かりやすく感動的な文章ではないでしょうか。
ライターとしてのmicoさんの才能に、惚れ直してしまう解説です。

愛されていた。愛していた。
という記憶は、次元を超えて私たちの記憶として残っているんですね。

この歌が100年ちかくの長きにわたり、歌い続けられてきた理由は
きっとこの愛の記憶を呼び覚ましてくれるものだからだと思います。

そう思うと、今目の前にいる人に自分が与えた愛が、
例え今、目に見える形で受け取ってもらえなかったとしても、
長い時を経て、いつかどこかで芽吹くことがあるのかもしれない…
なんて、ちょっとロマンチックなことを考えてしまったりするのでした。

ラフでは少年の後ろ姿バージョンと2パターンありました。

最終的には、詩の入れ方を考慮してこちらを採用。

ご紹介したイラストが掲載されている
『ゆほびか』11月号は全国の書店・スーパー・コンビニなどでお求めいただけます。
ぜひ本誌をお手に取ってご覧ください。
CDも素晴らしいです!ずっと聞いちゃいます。

 

本日もお読みいただきありがとうございました。
明日もしあわせな一日をお過ごしください♪

masami

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