グランマ・モーゼス展 アップル·バターと101歳の画家と

先日、世田谷美術館で開催されている『グランマ・モーゼス展』に行ってきました。もー、すごく感動してすぐにInstagramに投稿したんですが、
書きたいことがありすぎて、長文になりそうだったので、BLOGの方に思う存分書き残そうと思います。

感受性が強くて苦労することも多い私ですが、こうやって好きなものに出会えた時、感動が全身をかけめぐるような感覚は、神様からのギフトだなぁと思います。
大変なことも多々ありますけれど、なるべく感動や喜びに目を向けていきたいものです。

 

76歳で描き始め、100歳になってもまだ描く。尊敬しかない。

『グランマ・モーゼス展』というタイトルの本展覧会ですが。
モーゼスを知らなかった私は、有名になったのはおばぁちゃんになってからかもしれないけど、女性におばあちゃんって…と思っていました。世界の人からおばあちゃん呼ばわりされるなんて、嬉しくないんじゃないかなと思ったのです。

ですが、グランマ・モーゼスこと、アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスは、なんと76歳から本格的に絵を描き始め、101歳で亡くなるまで、絵を描き続けていた画家。


つまり、絵の描き始めから絶筆まで、ずーっと‘おばぁちゃん’だった方なのです。ひえぇ!しかも絵がめっちゃかわいい!


※ポストカードの写真をBLOGに使っています。

展覧会では、モーゼスが絵筆をとる前に制作していた刺繡絵からはじまり、リウマチを患ったのちに刺繍針を絵筆に持ち替え、どんどこ大作を描いていく様子を見ていくことができます。

 

制作年が曖昧な作品は、モーゼスの年齢でキャプションがついているので、『84歳より86歳の絵がうまくなってる!!』みたいな驚きとともに。
100歳を越えてからの作品は、細部(特に人物の顔など)は、目が見えないのかなぁ…と思うような描き方になってい絵もありますが、それでも『描いてやる!』みたいな、熱量も感じられてすごいのです。

かなり細かな描写をするので、原画でないと見えない部分かと思います。ぜひ、展覧会で。

 

なんて幸せな空気に満ち満ちた展示室なのだろう!

展覧会にあまり足を運ばない方から(私もそんなに行きませんが)、美術館の絵をどんな風に見たらいいのか…と、戸惑っている声を聞きます。


実際、音声ガイドがはじまってから、展覧会が楽しくなったという声も聴きますが、個人的には、耳に意識が向いてしまい、目や心がおそろかになってしまうのでは?と思います。

感性(心)を刺激するための美術鑑賞で、頭を知識をいっぱいにするのはもったいないように思うのですが、どうでしょう?
知識なんてなくっても、絵の前に立つと画家が感じていた制作時の気持ちや、絵筆を走らせる空気感を味わえるはずです。

私はしばしば、絵を1枚ずつ数点見た後、展覧会会場の端や真ん中に立って、会場の空気を味わいます。


1枚ずつみるのではなく、4~5点をまとめて眺めたり。その絵を鑑賞している人たちを含めて、絵の飾られた空間を観るのです。
そうすると、その絵から発せられている’モノ’が見えてくるような気がします。

モーゼス展でも、そうやって一番初めの展示室を眺めた時。
なんて幸せな空気に満ち満ちた展示室なのだろう!と、驚きました。

やさしさ、思いやり、忍耐、ユーモアと、純粋さが会場全体を包んでいるようでした。
これが、グランマ・モーゼスの絵が作る空気なんだ…!と感激し、しばらくその心地よい優しい空気に浸っていたのでした。

 

おばぁちゃんの絵は、神さまの目線に似ている

会場を包む優しいあったか~い空気。
これが、私はなんとなく‘神様目線’に近い感じがするのです。

モーゼスの絵の多くは、高い場所から人々が日々の暮らしを営んでいる様子を描いています。
真上からというよりも、ちょっと小高い丘の上から。

人々が何をしているかも見えるし、表情だってわかります。
画面の端では、ガチョウがじゃれあっていたり、子供たちがいたずらをけしかけていたり。
お母さんは洗濯物にいそしみ、お父さんは力仕事に精を出しています。
遠くでは、野の花を風が揺らしています。

画面に描かれるすべての生き物たちは、きっとモーゼスが実際に目にしたことのあるものなのでしょう。
彼らの欠点を含めて愛していたし、彼らがどれほど一生懸命に生きているのか知っていたでしょう。
その感覚が、私に‘神様っぽい’と感じさせるのかもしれません。

 


※きっと当時はこんな感じー!

ちなみに、モーゼスは初期の頃は構図をどのように取るか苦慮していたようですが、ある日ホイールキャップに映った風景を見て、この遠景の構図を確立していったとか。
ちょっとパノラマ写真というか、魚眼レンスみたいな感じに見えたのでしょうかね。見えたまま描かなくてもよいという結論に達したのかもしれません。

モーゼスの絵、風景はリアルなんだけど、人物は平面ちっくに描くので、写真にお人形さんを並べたようなかわいい感じがしますよね。
おそらく風景はスケッチや屋外で描いて、人物は記憶や写真を頼りに描いていたのではないでしょうか。私はそこが好き。

 

グランマ・モーゼスが最後に描いた絵

いつまでも元気で『自分が年を取っているとは思っていません』と言っていたモーゼスも、101歳でこの世を去ります。
最後の作品とされている、死の半年前に描かれた「虹」という絵は、展覧会場の最後、黒い壁に照明を落とし、そっと展示されています。

私はこの「虹」の絵が好きです。


ポストカードはなかったので、ブックカバーを買いました。

虹というモチーフに、きっとモーゼスは天に昇る自分を重ねていたのだと思います。
その虹は、見渡せる画面の広い空になく、大きな木の奥にちらりと覗くように描かれていることに、胸がキュッとなりました。
101歳まで生きても、やっぱり亡くなるのは怖かったんじゃないかな。

肉体を離れたら自分はどうなるのか分からない。
地上では変わらず村人たちがいつもの暮らしを続けていくけれど、そこに自分はいない。
でも、美しい虹に新しい世界(神様のもと)へ行く希望のようなものも感じて、忘れられない1枚です。

絵のモチーフにもなっていた「アップルバター」が買えるよ!

展覧会の話はこのくらいにして。最後に展覧会のもうひとつのお楽しみ、グッズの話です。
前述のポストカードやブックカバーも買ったのですが、フーズの棚に「アップルバター」を発見しました!

モーゼスの絵には、感謝祭の七面鳥などおいしそうなものがしばしば出てきて、見ているとお腹がすくのですが。
(図録の解説でも浅川真紀さんが同じような事をおっしゃっていましたw)
しかもモーゼスは料理の腕がかなり良かったらしく、品評会でジャムが賞を取ることもあったようです。


『アップル・バターづくり』という絵で、作っていたのがまさにこの瓶の中にあるアップルバターです。


アップルバターを知らなかった私は、リンゴ+バターのハイカロリーなペーストをイメージしながら絵を見ていましたが、お土産のアップルバターの原材料をチェックしてびっくり!リンゴとシナモンのみの超シンプルな食べ物なのです。

 

しかも、この小さな一瓶になんと1キロものリンゴが使われているとか!!
このモーゼスの絵のように、火でじっくりじっくり煮詰めて作っていくそうです。そんなん、まずいわけないだろう!!

ということで、購入しさっそく一口。
見た目は味噌のようですが、シナモンの香りとりんごの甘酸っぱい香りが漂います。

なめらかなホイップクリームのような舌ざわり。
りんごのうまみがギューーッとつまったおいしさに感動しました。
これ絶対、ライ麦パンとかに塗ったらほっぺた落ちるやつ!

展覧会グッズのアップルバターは、長野県の信州コヌルコピアという会社でアメリカ人の池上ジェニーさんが作っていらっしゃいます。
本場の味なのです。うーん、おいしいわけだ。

展覧会の最後に、アップルバターもぜひチェックしてみてくださいね!

 

グランマモーゼス展については、<こちら>

 

 

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